修理の基本のおはなし

販促部  ヒロ伊藤です。

今回はヤバかった・・・まじで!

モトクロッサーの修理依頼
セルなし・・・(キックのみ)
バッテリーレスの
インジェクション車 RM-Z 250

わたくしが、事前に得た情報は
走行は、普通に出来る。エンジンも回る。(いいじゃん!)
でも、キックでエンジンがかからない。(なんで?)
押しがけだと普通にかかる。(うそでしょ)

何のこっちゃですよ? そんなことある?って感じです。

これなら、誰でもキックスターターを疑いますよね。

バッテリーレスでインジェクションということは

キックして回転したクランクの発電だけで
フューエルポンプを回しインジェクターから燃料を噴射
しかも点火まで
これは、
「キックのストロークがないと厳しいのでは」って考えます。
だから
押し掛けではエンジンがかかるけどキックではかからないと推測

この推測がダメだった・・・・・

本来は、お客様の言っている症状を
自分でも体感して、症状を再現してからの
作業が基本なのに

レーサーで公道を走ることが出来ない・・・
キック100連発で足が・・・・(キック絶対嫌だ!)
このクソ暑いのに押し掛けは、まじで吐く・・・

ってな感じで、基本をおろそかにしてしまいました。
まだまだ、未熟ものです。

でも、言い訳だけど一応エンジンも疑って
圧縮だけは、計測しておきました。
でもモトクロッサーはキックを軽くするために(かけやすくするため)
オートデコンプというものが装備されていて
通常のバイクより低い値を示します
4.0~8.0Kgf/㎠
マニュアル値です。
デコンプの付いていないエンジンなら
ぶっ壊れている値です。

圧縮も規定内だったので
それにも、惑わされてしまいました・・・・・
エンジンは、頭の中から完全に消えていました。

ここまでの話の流れで
何となく原因がわかりますよね

なんにも疑ってなかったエンジンでした!

取り外したインレットバルブ↓

左と右、なんか違うのがわかりますか?

これなら、どうですか↓

赤の矢印の所
ヘッドのシートと接触して気密を保つ大切な場所

バルブのフェースが、凹んでました・・・

チタンバルブの弱点ですね

チタンバルブは軽量・強いため
正確なバルブ開閉運動が出来る
そのためリフトを増やせる
軽いからバルブの傘を大きく出来る(吸排気効率アップ)
軽いからバルブスプリングをシングル(レートを落せる)に
出来る事によるフリクションの低減

メリットがいっぱいあるので、レーサーはもちろん
SSやハイパワー車では使われています

デメリットは
高価
摩耗性
あと、強いが故に
限界を超えると突然折れる
(レーサーは距離管理して交換しています)

今回は、チタンバルブが凹んで
その分バルブが上の方に行き
バルブクリアランスが0に近かったんだと思います。
オートデコンプではなく
まんねんデコンプ状態だったんでしょうね

速攻、エンジンをバラシて
ヘッドO/Hでバルブを新品にして修理しました!
チタンバルブの取り扱いはコツがいるので
また報告します。

ついでに↓


モトクロッサーのハーネスはたったのこんだけ

だけど、パソコンに接続でき
色々、見ることが出来ます。


青いユニットがインターフェイスです。

パソコン上は


スロポジ、水温、電圧、エンジン回転、吸気温など
リアルタイムで見ることが出来ます。

今回、この車両に初めてダイアグツールを接続しましたが
赤〇の所

エンジン稼働時間 101時間
総エンジン稼働時間 210時間

エンジン稼働時間はリセット出来るので
おそらく、
エンジンO/Hしてから100時間走行のエンジンなのか?

もしかしたら、210時間、O/Hレスで走行していたのか?

どっちにしても、チタンバルブの交換は
もっと前に必要だったと思います。

回、O/Hしたので、時間をリセットしておきました↓

症状の再現・自分で体感
修理の基本は、守らないといけないと改めて思いました。

もし、今回プラグを換えてエンジンかかっていたら
「やった~、なおった!」っていきなりコースに
持って行ったかもしれません。

考えただけで、恐ろしいことですね・・・・

骨折しているのに、絆創膏(バンドエード)を貼って
直そうとしているようなものですね。

それじゃ、直りませんよね。

今回は、いい勉強になりました!

それでは、また来週 ごきげんよ~

 

 

 

 

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