正体不明のおはなし

販促部  ヒロ伊藤です。

今日は、8月22日ブログ「ご案内のおはなし」の続き

GS1000への正体不明カムの装着作業です。

前回は車両に、このカムが放り込めることは確認できた。(本当か?)

 

さあ!
カムスプロケットを取り付けてエンジンに組もうとしたら

 

なんと!!

ほんの少しピッチが違っていてスプロケットがカムにつかない・・・・

 

スプロケットをバルブタイミングが調整できるように
長穴加工するついでにピッチも変更して穴開け↓


フライス盤を使って加工。
廃盤パーツの加工なので失敗は許されない! 超慎重に作業!

穴開け作業も成功して

 

これでエンジンに組み込める!

ただ、今回はカムシャフトを組むときに大事な
カムスプロケットの合わせマークなど使えない!

 

整備書でもマークを合わせて組むことしか載っていないし
学校でも教えてくれない。

 

さて、どうやって組む?

 

1番4番のピストンを上死点にもっていき
カム山を上の写真のように外向きに向けて組みます。

 

絵で説明すると↓ IN.EXカム山 を外側に向ける

ここでコツがあって、少し広く外を向ける
黒が実際だとしたら赤の位置にする↓

ようは、INはタイミングを遅らせて
EXは早めるようにセットする。

 

こうすることでバルブとバルブの接触、ピストンとバルブの接触
関して安全な方向にタイミングをずらしたことになるから。

 

ここで、クランキングできないようなら一コマ
カムチェーンをかけなおして組むようにします。

 

クランキングさえできれば、
あとはバルブタイミングを調整することができるので!

 

カムキャップを取り付けて、クランキングもできたので
バルブタイミングの調整

IN側 計測すると  1mmリフトで

オープン  25.5°  クローズ 55°  ロブセンター99°

MAXリフト 9.4mm   (タペット0.15)

 

リフト量から、やっぱりST-1カムのようだ。

 

でも、このタイミングは進み過ぎている!危険!

 

そこで、調整!

 

でもその前に、みなさん意味不明でしょ?

赤がINバルブ 青がEXバルブ オレンジの部分がオーバーラップ
これをクランク角で表したもの

これ見ながらなら、解りやすいんじゃない!

 

今のタイミングは
INバルブがTDC前の25.5°で開きはじめて
BDC後の55°で閉じるということ

 

IN 25.5-55   LC 99 

(これから、このように書きます)

 

これは、ちょっと早すぎるので

INが早いとEXバルブとの接触、
高回転でのピストンとの接触が怖いので

IN 20-59 LC 105  MAX 9.4に調整

 

EXも同様に調整して

EX 57-21 LC107 MAX 8.8に

 

ここで、エンジンをよく組む方なら
あれ?って思いますよね。

 

このカムのディレイション(作用角)が

IN259 EX258もあるんですよ。
ST-1なのに

オーバーラップも広いし

 

わたくしのよく組むカタナでも

ST-1  IN 17.5-47.5 作用角245 MAX 8.25
   EX 50-15  作用角245 MAX 8.2

 

ST-2  IN 26-51 作用角 257 MAX 9.5

      EX 56-21 作用角257  MAX 9.5

 

GS1000のカム ST-2に近いですね。
上は伸びそうなカムです。下の方がちょっと心配かな?

 

ここで、もう一つ心配が
このタイミングだとバルブとピストンのクリアランス

 

バルブとピストンが最も接近するのは

だいたいINが上死点後 12°  EXが上死点前 12°ぐらい

 

ここをチェック!

解りやすく写真を撮りました。わかりますか?

赤がピストン  青がバルブ バルブとピストンが一番接近したところ

 

この時のクリアランスをはかります。

 

色んなはかり方がありますが、今回はバルブを強引に押し下げる戦法

バルブをピストンに接触するまで押し下げます。 接触している写真

この時の、沈み量を計測 ↓

クリアランス 2.1m 、これだけ空いていれば

全然余裕!(良かった)

 

昔のエンジンは結構余裕をもたせて設計されているようです。

 

今回もピストンはワイセコ、面研、カム交換しても
まだクリアランスは大丈夫

 

これで、安心してエンジン始動で出来ます。

かっこいいホイールも装着されて、ただ今テストラン中です。

エンジンはとってもパワフルですよ!

 

それでは、また来週  ごきげんよ~

 

 

 

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